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Japanese Living Bible Luke
ルカの福音書(医者ルカの記録)
快復の見込みのない病気で絶望している人。 社会的地位も低く、人からいやしめられ、
軽べつされている人。 人々に訴える力も、権力もない弱い女たち。 社会の片隅に追い
やられ、存在すらも認められない、そのような人たちの心を、イエスは大切になさいまし
た。 そして、つらい思いでいる人々の気持ちを理解し、やさしい励ましと、慰めのこと
ばを一人一人にかけていかれたのです。 そういうキリストの姿が、医者ルカの目を通し
て生き生きと描かれています。
神様を愛する親愛なる友へ。
12イエス・キリストの伝記は、最初からの目撃者であり弟子であった人たちの証言をも
とに、すでに幾つかでき上がっています。 3しかし私は、すべての記録を、もう一度初
めからチェックし、徹底的に調査した上で、あなたのために順序正しく書いて差し上げた
いと思うようになりました。 4それによって、教わっていたことはみな正確な事実であ
ることが、よくおわかりいただけると思います。
ザカリヤへの約束
5 私の話は、ヘロデがユダヤの王であった時代にユダヤの祭司をしていた、ザカリヤと
いう人のことから始まります。 ザカリヤは、神殿で奉仕するアビヤの組の一員で、妻エ
リサベツも祭司の家系でアロンの子孫でした。 6この夫婦は神様を愛し、おきてを忠実
に守り、心から従っていました。 7しかし、エリサベツは子供のできない体だったので、
夫婦には子供がなく、二人ともすっかり年をとっていました。
8 さて、ザカリヤの組が週の当番となり、彼は神殿で祭司の務めをしていましたが、 9
祭司職の習慣に従ってくじを引いたところ、聖所に入って主の前に香をたくという光栄あ
る務めが当たりました。 10香がたかれている間、民衆は神殿の庭で祈るのです。 大
ぜいの人が集まっていました。
11 ザカリヤが聖所で香をたいていると、突然、御使いが現われ、香をたく壇の右側に
立ったではありませんか。 12ザカリヤはびっくりし、言い知れぬ恐怖に襲われました。
13 しかし、御使いは言いました。 「ザカリヤよ。 こわがることはありません。 う
れしい知らせなのだから。 神様があなたの祈りをかなえてくださったのです。 エリサ
ベツは男の子を産むでしょう。その子にヨハネという名前をつけなさい。 14その子は
あなたがたの喜びとなり、楽しみとなります。 また多くの人もあなたがたと共に喜びま
す。 15その子が、主の前に偉大な者となるからです。 彼はぶどう酒や強い酒は絶対
に飲みません。 生まれる前から聖霊様に満たされており、 16やがて、多くのユダヤ
人を神様に立ち返らせるのです。 17昔の預言者エリヤのように、たくましい霊と力に
あふれて、メシヤ(救い主)の前ぶれをし、人々にメシヤを迎える準備をさせます。 大
人には子供のような素直な心を呼び覚まし、逆らう者には信仰心を起こさせるのです。」
18 「そんなことは信じられません。 私はもう老いぼれですし、妻もすっかり年をと
っているんです。」
19 「私はガブリエル、神様の前に立つ者です。 神おん自らが、すばらしい知らせを
伝えるために、私を遣わされたのです。 20この知らせを、あなたは信じませんでした。
その罰に、あなたは神様に打たれて口がきけなくなります。 子供が生まれるまで話すこ
とはできません。 その時が来れば、必ず私の言ったとおりになるのです。」
21 外の人たちは、ザカリヤが出て来るのを、今や遅しと待ちかまえていましたが、な
ぜそんなに手間どっているのか不思議でなりません。 22ついに出て来ました。 とこ
ろが、何も言わないのです。 しかし、ザカリヤの身ぶりから、きっと神殿の中で幻を見
たのだろうと考えました。 23ザカリヤは残りの期間の奉仕をすませ、家に帰りました。
24まもなく、エリサベツは妊娠し、五か月間、家に引きこもっていました。
25 エリサベツは、「主は、私に子供を与えて、恥を取り除いてくださった。 なんとあ
われみ深いお方でしょう」と言いました。
マリヤへの約束
26 その翌月、神は御使いガブリエルを、ガリラヤのナザレ村に住む、マリヤという処
女のところへお遣わしになりました。 27この娘は、ダビデ王の子孫にあたるヨセフと
いう人の婚約者でした。
28 ガブリエルはマリヤに声をかけました。 「おめでとう、恵まれた女よ。 主が共
におられます。」
29 これを聞いたマリヤは、すっかり戸惑い、このあいさつはどういう意味だろうと考
え込んでしまいました。
30 すると御使いが言いました。 「こわがらなくてもいいのです、マリヤ。 神様が
あなたに、すばらしいことをしてくださるのです。 31あなたはすぐにみごもり、男の
子を産みます。 その子を『イエス』と名づけなさい。 32彼は非常に偉大な人になり、
神の子と呼ばれます。 神である主は、その子に先祖ダビデの王座をお与えになります。
33彼は永遠にイスラエルを治め、その国はいつまでも続くのです。」
34 「どうして子供ができましょう。 まだ結婚もしておりませんのに。」
35 「聖霊様があなたに下り、神様の力があなたをおおうのです。 ですから、生まれ
てくる子供は聖なる者、神の子と呼ばれます。 36ちょうど半年前、あなたのいとこの
エリサベツも、『子供のできない女』と言われていたのに、あの年になってみごもりました。
37神様の約束は、必ずそのとおりになるのです。」
38「私は主の召使にすぎません。 何もかも主のお言いつけどおりにいたします。 ど
うぞ、いま言われたとおりになりますように。」マリヤがこう言うと、御使いは見えなくな
りました。
3940数日後、マリヤはユダヤの山地へ急ぎました。 そして、ザカリヤの住む町へ行
き、エリサベツを訪ねました。
41 マリヤのあいさつを聞くと、エリサベツの子供は、お腹の中で跳びはね、エリサベ
ツは聖霊に満たされました。
42 エリサベツは喜びを抑えきれず、大声でマリヤに言いました。「あなたほどすばらし
い恵みを受けた女はいないわ。 お子さんが、神様の最も大きな誉れを表わすようになる
んですもの。 43主のお母様がわざわざおいでくださるなんて、身に余る光栄だわ。 4
4あなたが入って来てあいさつなさった時、子供がお腹の中で喜び踊りましたの。 45
神様が語られたことは必ずそのとおりになると信じたので、神様はあなたに、こんなすば
らしいことをしてくださったのね。」
46 マリヤは答えました。
「ああ、私は心から主を賛美いたします。
47 救い主である神様を、心から喜びます。
48 神様は取るに足りない召使のような私さえ、
お心にとめてくださいました。
これから永遠に、どの時代の人々も、
私を、神様に祝福された者と呼ぶでしょう。
49 力ある聖なる方が、私に大きなことをしてくださったからです。
50 そのあわれみは、いつまでも、神様を恐れかしこむ者の上にとどまります。
51 その御手はどんなに力強いことでしょう!
主は心の高ぶった者を追い散らし、
52 権力をふるう者を王座から引きずり降ろし、
身分の低い者を高く引き上げ、
53 飢え渇いた者を満ち足らせ、
金持ちを手ぶらで追い返されました。
54 主は約束を忘れず、
しもべイスラエルをお助けになりました。
55 先祖アブラハムとその子孫を、永遠にあわれむと約束されたとおりに。」
56 マリヤは、エリサベツの家に三か月ほどいてから、家に帰りました。
バプテスマのヨハネの誕生
57 さて、エリサベツの待ちに待った日が来て、男の子が生まれました。 58このニ
ュースはたちまち近所の人や親類の間に伝わり、人々は、神がエリサベツをあわれんでく
ださったことを、心から喜び合いました。
59 子供が生まれて八日目に、友人や親類の人が集まりました。 その子に割礼(男子
の生殖器の包皮を切り取る儀式)を行なうためです。 だれもが、子供の名前は父親の名
を継いで、「ザカリヤ」になるものとばかり思っていました。
60 ところがエリサベツは、「いいえ、この子にはヨハネという名をつけますの」と言う
ではありませんか。
61 「なんだって! 親族にそんな名前の者は一人もいないじゃないか。」 62あっけ
にとられた人々は、父親のザカリヤに、身ぶりで尋ねました。
63 ザカリヤは、紙をくれと合図し、それに「この子の名はヨハネ」と書いたので、一
同はびっくりしてしまいました。 64とたんに、ザカリヤの口が開きました。 また話
せるようになったのです。 彼は神を賛美し始めました。
65 これには近所の人たちも驚き、このニュースはユダヤの山地一帯に広まりました。
66だれもがその出来事を心にとめ、「この子はいったい、将来どんな人物になるんだろう。
うーん、確かにこの子には、主の守りと助けがあるぞ」とうわさし合いました。
67 さて、父親のザカリヤは聖霊に満たされ、こう預言しました。
68 「イスラエルの神、主をほめたたえよう。
主は来て、ご自分の民を解放し、
69 そのしもべダビデ王の血筋から、力ある救い主を遣わされた。
70 ずっと昔から、聖なる預言者を通して約束されたとおりに。
71 救い主は、私たちを憎むすべての敵から救い出してくださる。
7273主は私たちの先祖をあわれみ、
特にアブラハムをあわれみ、
彼と結んだ聖なる契約を果たされた。
74 私たちを敵の手から解放し、
恐れず主に仕える者としてくださった。
75 私たちはきよい者、
神様の前に立つにふさわしい者とされた。
76 幼い息子よ。
おまえは栄光ある神の預言者と呼ばれよう。
おまえがメシヤ(救い主)のために道を備え、
77 主の民に、罪が赦され、
救われる道を教えるからだ。
78 これはみな、ただ神の深いあわれみによることだ。
天の夜明けがいま訪れようとしている。
79 その光は、暗黒と死の陰にうずくまる者たちを照らし、私たちを平和の道へと導く
のだ。」
80 ヨハネは心から神を愛し、やがて成長すると、イスラエルの人々の前で公に語り始
めるまで、たった一人、寂しい荒野に住んでいました。
イエスの誕生
1 そのころ、皇帝アウグストが全ローマ帝国の住民登録をせよと命じました。 2これ
は、クレニオがシリヤの総督だった時に行なわれた、最初の住民登録でした。
3 登録のため、国中の人がそれぞれ先祖の故郷へ帰りました。 4ヨセフは王家の血筋
だったので、ガリラヤ地方のナザレから、ダビデ王の出身地ユダヤのベツレヘムまで行か
なければなりません。 5婚約者のマリヤも連れて行きましたが、この時にはもう、マリ
ヤのお腹は目立つほどになっていました。
6 ベツレヘムにいる間に、 7マリヤは初めての子を産みました。男の子でした。 彼
女はその子を布でくるみ、飼葉おけに寝かせました。 宿屋が満員で、泊めてもらえなか
ったからです。
8 その夜、町はずれの野原では、羊飼いが数人、羊の番をしていました。 9そこへ突
然、御使いが現われ、主の栄光がさっとあたり一面を照らしたのです。 これを見た羊飼
いたちは恐ろしさのあまり震え上がりました。
10 御使いが言いました。 「こわがることはありません。 これまで聞いたこともな
い、すばらしい出来事を知らせてあげましょう。 すべての人への、うれしい知らせです。
11今夜ダビデの町(ベツレヘム)で救い主がお生まれになりました。 この方こそ主キ
リストです。 12布にくるまれ、飼葉おけに寝かされている赤ん坊、それが、目じるし
です。」
13 するとたちまち、天の軍勢が現われ、御使いといっしょに神をほめたたえました。
14 「天では、神様に栄光があるように。
地上では、
平和が、神様に喜ばれる人々にあるように。」
15 御使いの大軍が天に帰ると、羊飼いたちは、「さあ、ベツレヘムへ行こうぜ。 主が
知らせてくださった、すばらしい出来事を見てこようじゃないか!」と言い合いました。
16羊飼いたちは息せき切って町まで駆けて行き、ようやくヨセフとマリヤとを捜しあて
ました。 飼葉おけには、赤ん坊が寝ています。 17何もかも御使いの言ったとおりで
す。 羊飼いたちはこのことを大ぜいの人に話して聞かせました。 18それを聞いた人々
はみな、ひどく驚きましたが、 19マリヤはこれらのことを胸に納め、時々、思い返し
ていました。
20 羊飼いたちは、お告げどおり赤ん坊にお会いできたので、神を賛美しながら、帰っ
て行きました。
21 八日たち、割礼(男子の生殖器の包皮を切り取る儀式)を行なう日になりました。
その子は、母の胎内に宿る前から御使いに示されたとおり、「イエス」と名づけられました。
22 モーセの法律によるきよめ(母親のきよめと幼子の献児)の時が来ると、両親はイ
エスを主にささげるため、エルサレムに連れて来ました。 23モーセの法律には、「女か
ら最初に生まれる子が男であれば、その子を主にささげなければならない」とあったので
す。
24 両親は、決まりどおり、「山鳩一つがい、または家鳩のひな二羽」をきよめの供え物
としてささげました。 25その日、神殿には、エルサレムに住むシメオンという人がい
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